MAZRIの祭 2005
音楽映像制作会社が自発的にライブイベントを企画すること自体前代未聞な事件である中、今年2回目の「祭」開催を成功させた MAZRIに、まずは敬意を表したい。
さて、第 2回「MAZRIの祭」開催となった5月29日、日比谷公園は今にも雨が降り出しそうな曇天に見舞われていた。湿度の高いグレーの空に映える緑の木々を包み込むように、トップバッターAkeboshiの演奏は始まった。優しい音階が空気や風景とタペストリーのように織り重なり、ゆったりと時間は流れていく。ライブは音楽を肌で味わうものだ。家よりバーより、ビールがうまい。
のんびりくつろいでいると雰囲気は一転。 JERRY LEE PHANTOMの登場である。「PUNK★THE★DISCO」と名乗る彼らの楽しげな演奏に観客が跳ねる。ステージと客席の笑顔を見比べながら飲むビールはまた格別。3番目のバンドを待つ間に4本目のビールを平らげていると、ブルースナンバーが聞こえて来た。次に登場するKOOLOGI のヴォーカリスト AKIO氏の弾き語りであった。陽の落ちかけた時間帯に聴くブルース、素晴らしさに慌てて5本目のビールを買いにいく。KOOLOGIの演奏が始まると若いロックファンが前方に詰め寄り、群衆の熱気が立ち上る。最後方より、「AKIO!」「アベ!」と叫ぶ少年少女をニコニコ眺めてビール8本目。
そしてついに ROCK ' N ' ROLL GYPSIES!さらにビールを買い足して、奴を待つ。「遊びに来てくれました」。花田裕之氏の合図に導かれてステージに上がった男の名は大江慎也。THE ROOSTERSの代表的なナンバーを飛ばしていく。カリスマの勇士に泣きながら椅子の上に乗り「オオエ!」と叫んで警備員に引きずり降ろされては、また負けじと登る私、31歳。最後は出演者全員でジミークリフ「THE HARDER THEY COME 」 をセッション。ライトに照らされたミュージシャンと観客の笑顔は眩しく、音楽に触れる幸福感がじわじわと込み上げてくるようなひとときだった。
多くのスタッフが一丸となって1つの作品にエネルギーを向かわせる映像制作において、何よりも人間の「和」を尊ぶ MAZRIらしく、ミュージシャンとMAZRI、来客者が大きな1つの「和」という円を描きながら時間を共有していた。日比谷野外音楽堂の内側に訪れた「和」の光景はとても暖かく、なんとも嬉しい気分にさせてくれる。映像も音楽も人が作り、人が作り手のエネルギーを受け止める。人の「和」のぬくもりは、MAZRIクルーのT-シャツに書かれていたメッセージ同様、「HAPPY PEACE LOVE」って呼ばれている。
・ 林永子(はやし・ながこ)
日本初、唯一の MV専門ライター。日本のMV制作者全員を応援するべく、各雑誌や上映イベントプロデュースを行っている。連載誌:月刊「コマーシャル・フォト」、「ピクト・アップ」、cannon「XL」、panasonic WEB MAGAZINE「CQ」。ほか、「DV JAPAN」「ブレーン」「Directors」などに執筆。
今年のイベントTシャツデザイン
by Hajime Matsuda
今年も「 MAZRIの祭」無事終了しました。
「 MAZRIの祭」このライブの雰囲気をこのまま大切に残しつつ、
これからも進化し変化し続けていきたいと思っています。
今年も会場に集まった全員とのピースフルなセッションができた事、
本当に感謝しています。
来年もみんなでセッションしましょう。
心から、 thank you!
2006.7.1

Akeboshi

JERRY LEE PHANTOM

KOOLOGI

ROCK ' N ' ROLL GYPSIES

ROCK ' N ' ROLL GYPSIES<br>Guest : 大江慎也

セッション